【小説】アイネクライネナハトムジーク(伊坂幸太郎)

【小説】アイネクライネナハトムジーク(伊坂幸太郎)

2021年最初の本として、伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」という短編小説を読みました。

「アイネクライネナハトムジーク」を手に取ったきっかけ

学生時代の先輩に勧められて買ってはみたものの、短編小説というのに正直なところあまり関心がなくて、読まないままになってしまっていました…

年末年始の連休がコロナで帰省できなくなり、暇になったのでやっと手をつけた!という感じです。笑

あらすじ

短編小説なのであらすじといってもすこし書きづらいのですが…

奥さんに愛想をつかされたサラリーマン、人の良い謙虚なヘビー級のボクサー、仕事で学生時代のいじめっ子と出会い戸惑うOL、ファミレスでの出会いをきっかけに付き合い始めたどこにでもいるカップル。

特別変わったところのない普通の人々のちょっとしたドラマが描かれていて、これらの登場人物が読み進めていくにつれて、ちょっとだけ繋がってきたり、繋がってこなかったり。

感想

初めての短編小説を読んだ感想を率直に一言で言うなら「普通に面白い!」でした。

せっかく数百ページの本を読むなら、全部のページを使って長編のひとつの話として成り立っている方が面白いし、読み応えがあるだろうと勝手に思って、これまで短編小説を読んできませんでしたが、これはこれで面白い。

短編小説ならではの良さがあるのかなと感じました。
想像を超えてすごく面白かった!と言うことではないのですが、気軽にテンポよく読めて、何を読もうかなーと悩んだときに手に取ってみるといいかもしれません。

この本の内容自体について言うと、特別印象に残る展開があるわけでもなく、派手でかっこいい登場人物がいるわけでもなく、普通の人々の日常の苦労や悩み、ちょっとした感動が描かれています。

いろんな人物の日常が描かれているので、おそらくどこに共感するかは読む人によって全然違って、誰が読んでも楽しめる作品だと思いました。

あと、これが短編小説の特徴なのか、伊坂幸太郎さんの作品の特徴なのか、「アイネクライネナハトムジーク」ならではの特徴なのかはわかりませんが、それぞれの短編小説に出てくる登場人物が読み進めていくにつれてちょっとずつ繋がってきたりします。

OLの上司の女性はもしかしてさっきの短編小説のあの人の奥さん?とか考えながら読むのも個人的に楽しかったです。

「アイネクライネナハトムジーク」を読んで得たこと・学んだこと

すごく印象に残った部分が1箇所あり、しっかり覚えて心掛けるようにしたいと思いました。

「でもまあ、危ない目に遭わないで良かったよ。こんなこと言うのも何だけれど、正義とかそういうのって曖昧で、危ないものなんだから」
「はい」織田美緒は意外にも殊勝にうなずいた。「お母さんにも言われます。自分が正しい、と思いはじめてきたら、自分を心配しろ、って」
「へぇ」
「あと、相手の間違いを正すときこそ言葉を選べ、って。というか先生どうしてここにきたんですか?わたしたちがもめていることを察知して?」
                         (P159)

自分が正しいと思いはじめてきたら、自分を心配する。

相手の間違いを正すときこそ言葉を選らぶ。